「い、一か月?」

「そうです。
だから、この先、同じことが起きても、けっして壊してはいけません。
たとえホテルに連泊することになっても、その方が絶対得です」
ときつく言い置いていったが、同じことはもう起きてほしくないのだった。
まる一日ぶりのわが家。
(しかし、この家は、思いのほか堅牢だな)プロがふたりがかりでも開けられなかったことに、少しく意を強くした。
売り主さんやとなりの人やあちこちに報告の電話をしてから、受話器を置くと、窓の外から音がするのに気づいた。
雨が降り出したのだ。
なんというタイミングだろう。
思い出して、メーターボックスの中にしまった買い物袋を取りにいく。
豆腐は悪くなっていた。
そのことがあらためて、一日という時の経過を感じさせた。
この事件を、人に話してわかったのは、鍵のトラブルで入れなくなる例は、少なくないらしいこと。
鍵をなくした、忘れたといったオーソドックスなトラブルの他、意外とあるのは、エレベーター付きのマンションで、エレベーター内で鍵を用意し、さあ降りようというときに、ドアとフロアーとの間の深い深い奈落の底に落としてしまうケースだという。
電話帳のイエローページには、えんえん十四ページにわたり、
「カギの110番」

「カギのレスキュー隊」

「24時間出動」

「五十分以内急行」
といった、そのての業者の広!告が並び、一需要の多さを示している。

 
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